【3万9081円の衝撃】ママの自立と夫婦の未来像とは?
■「熟年離婚」の割合が過去最高
2022年に離婚した夫婦のうち、「熟年離婚」の割合が23.5%と過去最高だったことが話題になっています。
厚労省が発表した「人口動態統計」によると、2022年の離婚件数は17万9099組。(同居期間不明の1万2894組を含む)。この中で同居期間が20年以上の「熟年離婚」は3万8991組に上ります。
同居期間別で離婚数が最多だったのは、「同居期間5年未満」で5万2608組でしたがが、同居期間20年以上の「熟年離婚」はそれに次ぐ数だったのです。
この問題については朝日新聞が8月13日に報じて以来、多数のメディアが報じています。私もメディアの取材を受けることが増え、8月27日にはテレビ朝日の「羽鳥慎一モーニングショー」にも出演し、今なぜ熟年離婚が増えているのかを私なりに解説しました。
■コロナ禍で夫婦の危機を迎えた
なぜ今「熟年離婚」が増えているのでしょうか。
まず大前提として、コロナ禍以降、離婚を考える熟年夫婦が増えていることが挙げられます。
外出自粛やリモートワークの普及で自宅にいる時間が長くなったことで、夫婦が顔を突き合わせる時間が増えました。
仲のいい夫婦ならむしろ好都合だったのでしょうが、ギスギスしている夫婦にとって、コロナ禍で夫婦の時間が長くなったことは、むしろ夫婦関係をいちから考え直すきっかけになったのです。
「仕事が忙しい」とか、「出張だ」といって愛人に会いにいくこともできず、「ならいっそのこと離婚してしまおうか」と考える人もいたようです。
■女性の社会進出が進んでいる
もう一つ、さまざまな面で女性の社会進出が進んだことも、「熟年離婚」増加の一因と見ていいでしょう。
1985年に男女雇用機会均等法が成立して以降、女性が大企業総合職として働くのは当たり前になりました。
厚生労働省の「男女共同参画白書(令和6年版)」によると、女性(15~64歳)の就業率は2005年には58.1%でしたが、2023年には73.3%まで増加しています。
特に25~44歳の女性に限ると、80.8%と、男性(15~64歳)の84.3%にほぼ並んでいます。
■「経済的に自立した女性」が増えた
また、厚生労働省の「厚生労働白書(令和5年版)」によると、2022年の共働き世帯の数は1262万世帯と、「男性雇用者と無業の妻からなる世帯」の539万世帯のおよそ倍以上となっています。
もはや「夫と専業主婦」という家庭は少数派なのです。
女性の就業率が向上したことで、経済的に自立した女性が増えています。その結果、経済的な理由で離婚を思いとどまる必要がなくなったことが、全体の離婚件数を押し上げていると考えられます。
また、人権意識の向上で男女平等意識が普及し、自分の意志をはっきり主張する女性が増えたことも、熟年離婚増加の一因でしょう。
実際、私の離婚相談所でも、女性からの相談が増えています。特に熟年世代の相談者のうち7~8割は女性です。
これまで離婚相談といえば、男性の浮気や金銭問題などが原因と思われがちでしたが、今や女性のほうが離婚に積極的になっていると感じます。
■モラハラ夫の言動で体調不良になる「夫源病」
女性が熟年離婚の原因として訴えることが多いのが、「夫のモラハラ」。
近年では、家で暴力を振るう夫はほとんどいなくなりました。DVの認知度が高まり、裁判で不利になることも広く知られるようになったからでしょう。
代わりに、言葉で攻撃するケースが増えています。
「夫の言動が耐えられない」という理由で離婚を考える女性の中には「夫由来のストレスで頭痛や不整脈、睡眠障害やうつ症状を発症した」と、身体の不調を訴える女性も少なくありません。
こうした病気を総称して「夫源病(ふげんびょう)」と呼ぶこともあります。
■水面下で増えている「妻源病」
ただ、夫婦関係がストレスになっているのは何も女性に限った話ではありません。
むしろ男性のほうが、女性からの罵詈雑言や、容赦のない批判にさらされ、体調を崩しているケースも多いです。これを「妻源病」と呼んでいます。
「モラハラ」が増えているというお話をしましたが、「夫のモラハラ」の原因を作っていたのは妻のほうだった、というケースもあり、近年目立ってきています。
女性が自己主張するようになったのは良いことでしょうが、中には、夫に対して強い言葉で批判する妻や、夫の尊厳を傷つけるようなことを平気で言う「モンスター妻」もいるのです。
■「服がダサい」「食べ方が汚い」批判ばかりしていた「モンスター妻」
「モンスター妻」からの精神的な苦痛に耐えきれなくなり、夫のほうから離婚を切り出すケースは、コロナ禍以降、かなり増えている印象です。
一例を挙げます。
夫は60代で企業の重役、妻は50代で専業主婦という夫婦のケースです。ある日夫が突然、理由も言わず「離婚したい」と言いだしました。
妻のほうには思い当たるフシがありません。最初は夫の浮気を疑い、探偵を雇って調べさせましたが、証拠は見つかりません。
後で分かりましたが、浮気どころか、夜の街で飲み歩くこともない真面目な夫で、子育てにも積極的に関わっていました。
いろいろ話を聞いているうちに、原因は妻のほうにあるのでは」と思うようになりました。
妻は夫に「服がダサい」「食べ方が汚い」などと、夫のクセやセンスを批判することが多かったようです。妻の友人や家族の前で夫のことを「ダメ亭主」と呼んだり、尊厳を傷つけるような対応も日常茶飯事でした。
■夫が会社で苦しんでいることも知らなかった
客観的に見て、夫はそんなにダメな人ではありませんでした。
国立の優秀な大学を卒業し、誰もが知る大企業に就職。一時は本社の社長候補にも挙がっていたと言います。
ただ社内の権力闘争は苦手だったのか、社長レースに破れ、関連会社の役員を務めることになったそうです。
その過程では相当嫌な目にも遭ったようですが、妻には相談できず、すべて一人で抱え込んでいたのです。妻は夫が半沢直樹さながらの権力闘争に巻き込まれていたことさえ知りませんでした。
夫はどちらかというと口下手で生真面目、妻の言動が不快でも言い返せない性格でした。
その分、妻から言われ放題になってしまい、怒りで寝付けなくなったり、家庭が重荷に感じてうつ状態になったりと、心身に不調を感じるまでになっていたのです。
■「お金持ちの妻」は貧乏人の夫を下に見ていた
妻は専業主婦でしたが、もともとお金持ちの家に生まれているせいか、苦学して大学を卒業した夫のことを下に見る傾向がありました。
実家の反対を押し切って結婚したので、「私のおかげで結婚できたのだ」という思いも強かったようです。
その分、夫に対しては何を言ってもいい、という態度で、普段から強い言葉で批判したり、人前で欠点をあげつらっていたりしたのです。
結局、夫はこうした妻の言動に耐えられなくなり、離婚を切り出したのです。
■「完璧な専業主婦」ほど「モンスター妻」になる
こうした「モンスター妻」にはどう対処すべきでしょうか。
驚くことに、こうした強気な女性の多くは専業主婦だったりします。
「子育てや家事を一人でやってきた」という強い自負があるので、育児・家事をやってきていない夫に対し強く出る人が多いのです。
逆に共働き世帯や兼業主婦だと、育児・家事を夫婦で分業しており、自分も働いているので「パートナーが仕事で大変」ということも理解しているので、そこまで強気に出ない印象です。
ほか、結婚した当初の力関係(どちらが結婚により積極的だったか、等)や、互いの経済力なども夫婦の力関係に影響します。
こうした家庭では、夫のほうも「モンスター妻」に遠慮しているせいか、給料の管理は妻に任せ、「お小遣い制」にしていることが多いです。
こういうケースでは、まず、お金の管理権を取り戻すことが重要です。
「モンスター妻」が大きな顔をしていられるのは、お金を管理しているからです。
でも、逆に、夫から生活費をもらう側になると、「人の稼ぎで養われている立場」だと思い出すのか、急に大人しくなったりします。
■「夫婦間で生活費として渡すべき金額」実は決まりがある
ただ、「『お小遣い制をやめたい』と言うとケンカになる」と思い、交渉に二の足を踏む夫も多いのですが、そんな時は法律を盾にとって戦いましょう。
実は、夫婦関係において、生活費として渡すべき金額には基準があります。
裁判所が「婚姻費用の算定表」 というものを公表しています。夫・妻の収入や子供の人数に応じて、「法的に必要と認められる生活費」の基準が作られているわけです。
例えば「夫の年収500万円、妻の年収0万円、0~14歳の子供1人」という家庭の場合、渡すべき生活費は「月10~12万円」となっています。
年収500万円の人の手取りはボーナス込みで月32万程度とされています。仮に家賃が10万円だとすると、生活費を10万渡しても、手元に12万円ほど残ることになります。
■夫の小遣いの平均額は「3万9081円」
一方、世の男性がもらっているお小遣いはもっと少ない模様です。
2024年にSBI新生銀行が実施した調査によると、夫の小遣いの平均額は「3万9081円」でした。
つまり世の男性は裁判所の基準よりかなり少ないお小遣いしかもらっていないことになるのです。
「小遣いが少ない」と悩んでいる方は、こうした根拠も提示しながら、お金の管理について妻と交渉してみることをお勧めします。
■「きちんと自己主張する」ことも重要
もう一つ、「モンスター妻」への対応で必要になるのが、「自分の言いたいことをきちんと主張する」ことです。
事例に挙げた夫婦の場合、夫は妻の言動にずっと耐えていましたが、心身の不調を感じるまでになり、離婚を決意しました。
ただ、妻を「モンスター妻」にしてしまったのは、夫の対応のせいとも言えます。
なぜなら、妻のほうには自分が「モンスター妻」だという自覚がまったくないからです。
夫は妻からどれだけ批判されても、言い返さずに我慢していたのです。妻が「自分のやっていることは正しい」と勘違いしてしまうのも無理はありません。
夫は「言い返すとケンカになる、我慢したほうがラク」と思っていたのでしょうが、それがかえって裏目に出てしまったのです。
世の中には、「ケンカにならないような、マイルドな言い返し方」のノウハウもあります。
例えば近年注目されている「アサーション」は、簡単に言えば「相手とケンカにならずに自己主張する技術」です。
ほか、例えば「落語を聞く」といったことも、会話のスキルを高めてくれます。
こうした技術を学んで、妻に対してやんわり言い返していくことで、「モンスター化」することを防げたのではないでしょうか。
離婚相談の過程で、「夫婦間の伝え方」について指導することも多いのですが、伝え方を改善するだけで、夫婦関係が劇的に改善することもあります。
夫婦関係にお悩みの方はぜひ参考になさってください。
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夫婦問題研究家・パートナーシップアドバイザー・公認心理士
夫婦問題研究家、パートナーシップアドバイザー、NPO日本家族問題相談連盟理事長。立命館大学産業社会学部卒業、立教大学大学院 21世紀社会デザイン研究科修了。自らの離婚経験を生かし、離婚カウンセリングという前人未踏の分野を確立。これまでに32年間、38000件以上の相談を受け、2200人以上の離婚カウンセラーを創出『離婚カウンセラーになる方法』(ごきげんビジネス出版)。近著は夫婦の修復のヒントとなる『夫婦がベストパートナーに変わる77の魔法』(サンマーク出版)。著書多数。
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豚足75
小遣いの是非は置いといて、その額が約4万ってのは妥当だと思うんだが。例に挙げられてるモデルケースで手元に12万戻る?なんでその12万を全部使いきる前提なんだ。子供の将来の学費や老後資金として貯金は必要だし、NISA等の投資をするなら種銭も必要。それに妻の方の小遣いもいるだろ。って考えたら4万でも多いくらいだぞ。 |
豚足75
あと、さりげなく数値を誤魔化してるよな?渡すべき生活費は「月10〜12万円」で何故生活費を10万とするんだ?普通こういう場合はバラつき中央の値、即ち11万に設定するだろ。こういう卑怯な誤魔化しで自説の補強をする人間ってのは全く信用に値しない。 |
amino_acid
普通に子育てを考えたら生活費10万で良いとはならないだろ・・まあ、DVボーダーライン上の女に読ませてちょっとトーンダウンさせる意図だけの記事としてならわからなくは無いけど、男から見ても、その理屈で良いの?って感じになるんだがw |
豚足75
小遣い制を頭から否定している方は、多分本人も周りの人もまともな金銭感覚を持っていて、管理がちゃんとできるからそう考えるのよね。だが実際の所、毎月の給料を全部使い切るような人間ってのはそれなりにいて、そういうのは小遣いで管理せんとどんだけ給料が多くても金が全く残らんようになる。ただ、それは男女に差があるわけでもないので管理できる方が管理するのがよい。 |
ゲスト
月10万ぐらいの生活費だけ渡されて(しかも余ったら貯金しろと言われ)夫に養ってやってるってデカイ顔されながら全ての生活の面倒やワンオペ育児させられると考えると男の俺でも専業主婦なんてやってらんね〜と思うわw |